グジマとホーミー
『ハジチ 蝶人へのメタモルフォーゼ』のなかでは「タカラガイ」としているが、「ホーミー」は「イソアワモチ」ではないかという指摘をいただいたので、考えてみたい。
この本のなかで、「ホーミー」を「タカラガイ」としたのは、そう聞き取りしているハジチ調査もあるからだが(例.具志川島教育委員会,1987)、もうひとつ、貝塚からもタカラガイは出土してもイソアワモチは出ていないからだ。ただ、「グジマとホーミー」を「ヒザラガイとイソアワモチ」とするのは、両者ともに岩場に張り付いているのだからとても自然な見なしではある。この場合、起点になるのは「ヒザラガイ」だ。ヒザラガイだから、対は姉妹のようなイソアワモチになる、というように。
けれど発生からいえば、「グジマとホーミー」の対紋様は、「シャコガイとタカラガイ」とするのがその形態からは自然だ。二対は植物トーテムからいえば「花と蕾」であり蝶としてみると、「翅と幼虫?」になる。
だから、問いは、「シャコガイ」が「ヒザラガイ」呼称に置き換わったのはなぜか、ということになる。
この置き換えが起きるのは、カニ・トーテムの段階が考えられる。カニ・トーテムではシャコガイは大人貝でカニ腹部であり、タカラガイは子供貝でカニ鋏になる。ヒザラガイも子供貝でカニの鋏だ。ここからみると、タカラガイを鋏として見る視線に合わせて、左手の紋様を同じ鋏であるグジマ(ヒザラガイ)と見なしたことになる。両方の紋様とも子供のときに入れることになり、その意味はカニの鋏だった。
経緯からいえば、カニ・トーテムの段階で、両方の紋様は、「グジマとホーミー」呼称になったと考えられる。
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