ウフタⅢ遺跡のベニワモンヤドカリ
ウフタⅢ遺跡では、「石積み石囲い竪穴住居跡」が発掘されている。
(『ウフタⅢ遺跡1』龍郷町教育委員会埋蔵文化財発掘調査報告書2 )
しかし、トーテムの眼でみれば、これは住居跡ではなくトーテム像である。それはどうやら、サウチ遺跡と同じ、ベニワモンヤドカリだ。住居跡の遺構は思わずミナミオカガニ・トーテム段階と見たくなるが、阿波連浦下層式の土器も出ていて、すでにスナガニ段階も過ぎている。これがヤドカリであることに矛盾はない。
(『ヤドカリのグラビア』)
「石積み石囲い竪穴住居跡」は、ベニワモンヤドカリの甲に当たる。しかも、デフォルメされている。甲を1~4の個所に分けると、遺構ではそれが下図のようにデフォルメされている。「母屋」には、南北に「扁平な円礫2個(砂岩と珊瑚塊)」が検出されているが、それは甲上部に二つある斑点を指している(1)。「ベッド状遺構」は、母屋の床面より約50cm高くなっていて、甲2の盛り上がりを示す。「石積み楕円形遺構」は、甲下部(4)の赤い斑点がよく捉えられている。
遺構全体をみれば、ベニワモンヤドカリの形姿イメージもつかめる。
5号土坑 右ハサミ
1号土坑 左ハサミ
4号土坑 腹部
3号土坑 腹部2
2号土坑 尾部
つまり、ベニワモンヤドカリは、東側に顔を向け、西側に伸ばした腹部を曲げて東側へ尾を向けている。東から西に向けて伸びている「貝溜り」は宿貝を示している。ヤドカリ遺構は、宿貝が重視されるが、ベニワモンヤドカリの場合、宿貝はイモガイが多く、男性性が強いので、「土坑」や「住居」形態は採らずに、貝で示されているのではないだろうか。
甲部はなぜデフォルメされているのか分からないが、個々のパーツの形状はとてもリアルにできている。「石積み石囲い竪穴住居跡」の東側にはふたつ伸びる眼柄まであるのだ。「住居跡」の壁は、「砂岩、珊瑚塊、ビーチロック」で積み上げられている。これは、ベニワモンヤドカリ・トーテムがサンゴ礁が生まれたことを暗示している。このトーテムの出現母体はサンゴ礁なのだ。このとき、母体としてのサンゴ礁が角の丸い四角形という形態の認識まで至っていれば、それがデフォルメの理由になる。言い換えれば、「胞衣」の形態である。
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