野国貝塚Ⅲ層の芭蕉トーテム
奄美大島の嘉徳遺跡からは、芭蕉土器を知ることができても、メタモルフォーゼの場を知るのは難しかったが、野国貝塚のⅢ層にはそれがある。
まず、琉球糸芭蕉のイメージを掴んでおく必要がある(cf.糸芭蕉)。
これも石器の配置は、グリッドまでは分かるが詳細は不明なので、グリッド内は芭蕉になるように配置している。
A2からB4まで下がっているのが偽茎。C4で放射状に並べたのが苞。右に突き出したのが雄花。雄花は石器では、ひとつだけ表現されている。その先端には「チャート製品」を添えた。雄花のふさふさだ。「チャート製品」はⅢ層から24点出ているがグリッドの詳細はない。しかし、報告書の図版には、ひとつの「チャート製品」に、「C3Ⅲ」と記されているので、雄花を表現したものだと考えられる。おそらくこの辺りに「チャート製品」は集中していたのではないだろうか。
D2は「花序の先端」に当たる。雄花まで空白になるが、ここに紡錘形の花序を見ていたはずだ。オレンジの濃淡は、マガキガイの密度で、雄花の個所に集中しているのが分かる。マガキガイは、輝きを示している。
E4、E5は葉に当たる。3点のうち2点は、どこに当たるとはっきり分からない。糸芭蕉をじっくり眺める必要がある。
「花序の先端」をサラサバテイラで、「雄花」をマガキガイで表現している。土器はトカゲ土器(条痕文系)だが、Ⅲ層は植物トーテムを示している。それは、4460±70y.b.p.という測定とも符合している。平敷屋トウバルもそうだが、植物トーテムの表現には、しばしばトカゲ土器が使われるようだ。それは、トカゲの模様を示す土器の線状が、植物の繊維と似ているからだ。それは同時に、植物にはトカゲ・トーテム霊が入っていると考えられたことを示すのではないだろうか。
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