アンチの上貝塚の位相 13
アンチの上貝塚のゴホウラ・イモガイ集積を見る。スデル場の「宿貝」に相当する。
9つの貝のうち、2~7は女性。8,9は男性。2~4,6のゴホウラは、「頂部破損」が共通しているので、年齢階梯として同位相にある。5は、「外唇部破損」とあるが頂部も破損している。「外唇部破損」は「体層部有孔」と同位相で、しかし出自のちがいを示すものかもしれない。
1は、「頂部破損」がなく、2~6に対して若い。7のアツソデガイは、女子を示す。短い方のアンボンクロザメは、7と同位相にある。長い方のアンボンクロザメは成人男性と考えられるが、2~6の位相にあるのか、1と同位相なのかは分からない。
この集積は、次のように置かれていたと報告されている(『瀬底島・アンチの上貝塚』)。貝同士の重なりが分かるように図解してみる。
スデル場だから、具体的な人ではないと考えられるが、あるいは「あの世に還った」人物の再生としてスデル場に置かれたのかもしれない。考えられる関係の可能性をメモしておく。
・7~9は兄弟妹。
・9に被さっている6は、9の母。
・8に被さる4は、8の母。
・6と重なる5は、姉妹。
下から順に、年齢階梯あるいは霊力の増加を示すように見えるが、中位に当たる1が上位にあるのを見ると、年齢階梯どおりに積み上げているのではない。1~3は、後のスデル儀礼の際に付加された可能性は考えられる。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント