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2018/10/30

安良川(アラゴー)遺跡の遺構 2

 安良川(アラゴー)遺跡の「ウニ集中部」は、宿貝のスデル場だ。そこには、女性9人、男性2人の貝が置かれている。たった97個の貝でも雄弁だ。

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 集団は、コシダカサザエをなりグループとシロインコをなりグループに分かれる。構造はおそらくアンチの上貝塚と同じだ。

 一体のシラナミは宿貝だ。一体のオニヒザラと多数のウニの棘も同じ意味を持つとみなしておく。

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 面白いことに、ムラサキオカヤドカリの段階でも、カニは忘れられていない。ヤドカリ段階は、カニを包含している。「胞衣」は奄美では、ヤドカリで思考されているのは分かっているから、カニ、ヤドカリどちらで考えられているかは保留する。 

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 貝類から推測する時間は、3世代から4世代になる。

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2018/10/29

下田原貝塚の位相

  下田原貝塚は全面の発掘ではないので、情報は限られる。

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(『下田原貝塚・大泊浜貝塚』)

 垣間見えるところから、思考を推理してみる。

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 第1地区に伸びる溝(計測された範囲で36m)は、キシノウエトカゲ・トーテムの胴部だ。その先にある貝塚は、頭部ではないだろうか。

 その下方、第2地区の炉跡は卵である。

 こうしてみたとき、下田原貝塚でも人数をシミュレーションすることができる。

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 ただし、ぼくたちの想定では、この段階で死はまだ発見されていないので、「還る」は、トーテム自身に戻る(あるいは、トーテムセンターに還る)ものと考えられていた、ということになる。

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2018/10/28

安良川(アラゴー)遺跡の遺構

 奄美大島笠利半島の安良川遺跡は、ムラサキオカヤドカリ段階にある。

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(『安良川遺跡』)

 この遺構のスデル場であるムラサキオカヤドカリ・トーテムを描いてみる。

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 土器や貝の分布が示すように、上図①~③は、空白になっているから、スデル場の一部であると考えられる。

 右上端の「ウニ土坑」は宿貝を示している。おそらく③を含めてだ。
 そこでは、32人の女性と2人の男性が貝とおびただしいウニの棘で表現されている。

 ②と「ミミガイ土坑」は腹部を示す。北端のピットは尾肢の表現かもしれない。

 ①は左の鋏だ。左右のピットが何を表しているのか定かではない。鋏の両端だろうか。

 そして、ヤコウガイのピットは右の鋏に当たる。この近くには、ムラサキオカヤドカリのピットもある。個体数は分からないが、「詰まった状態」と報告されている。

 チョウセンサザエの殻にヤドカリが入ったままで湯がかれたと考えられるピット。ヤドカリは湯がかれれば赤くなる。トーテム自身に火をかけることで示されているのは、右の鋏が太陽であることだ。左は女性性が強いから、右ということなのだと思う。

 安良川では、ヤコウガイは殻より蓋が多く検出されている。腹部ではなく、蓋が「太陽」を示すことがここにも記されている。


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2018/10/27

長浜金久第二遺跡の遺構

 長浜金久第二遺跡の遺構から、コモンヤドカリを浮かび上がらせてみる。

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 遺構はそれぞれヤドカリの部位に対応している。

 土坑B:尾脚
 住居跡:左鋏
 土坑A:右鋏
 炉跡:宿貝

 ヤドカリの頭部は、この画面で上部を向いているから、尾を曲がらせていることになる。

 宿貝は、「炉跡」として判断されている。コモンヤドカリ段階では、ここが太陽を生むのだ。
 

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2018/10/25

アンチの上貝塚の位相 15

 カリエラ四分制のようなケースを考えても、同様の貝塚構成にはなりえる。

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 しかし、心理的にはあまりピンと来ないと言うべきだろうか。

 アンチの上貝塚人たちは、兄弟姉妹関係を軸としながら、あの世へ還る際には、別のをなりグループの異性と共にいることを選んでいる。それは兄弟姉妹に対して夫婦という関係の強まりを反映したものかもしれない。

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2018/10/24

アンチの上貝塚の位相 14

 アンチの上の集団のあり方について、シンプルな可能性をシミュレーションしてみる。

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 この集団を貝に象徴させると、チョウセンサザエをなりグループとサラサバテイラをなりグループに分かれる。それぞれは二つの集団にさらに分かれている。

 チョウセンサザエ5集団は、サラサバテイラ4集団と婚姻関係にあり、チョウセンサザエ6集団は、サラサバテイラ7集団と婚姻関係にある。

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 「あの世へ還る」場の小貝塚の構成について、たとえば5は、チョウセンサザエをなり5の女性と、サラサバテイラ4の男性で構成される。主動因になっているのは、5の男性と4の女性との婚姻である。ただ、それだけでは、子供の動きや男女に員数のアンバランスが説明されない。

 「あの世に還る」場は、婚姻の有無にかかわらず、男性は婚姻対象の女性集団の場に入れられている、というのは説明のひとつになる。

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2018/10/23

アンチの上貝塚の位相 13

 アンチの上貝塚のゴホウラ・イモガイ集積を見る。スデル場の「宿貝」に相当する。

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 9つの貝のうち、2~7は女性。8,9は男性。2~4,6のゴホウラは、「頂部破損」が共通しているので、年齢階梯として同位相にある。5は、「外唇部破損」とあるが頂部も破損している。「外唇部破損」は「体層部有孔」と同位相で、しかし出自のちがいを示すものかもしれない。

 1は、「頂部破損」がなく、2~6に対して若い。7のアツソデガイは、女子を示す。短い方のアンボンクロザメは、7と同位相にある。長い方のアンボンクロザメは成人男性と考えられるが、2~6の位相にあるのか、1と同位相なのかは分からない。

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 この集積は、次のように置かれていたと報告されている(『瀬底島・アンチの上貝塚』)。貝同士の重なりが分かるように図解してみる。

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 スデル場だから、具体的な人ではないと考えられるが、あるいは「あの世に還った」人物の再生としてスデル場に置かれたのかもしれない。考えられる関係の可能性をメモしておく。

・7~9は兄弟妹。
・9に被さっている6は、9の母。
・8に被さる4は、8の母。
・6と重なる5は、姉妹。

 下から順に、年齢階梯あるいは霊力の増加を示すように見えるが、中位に当たる1が上位にあるのを見ると、年齢階梯どおりに積み上げているのではない。1~3は、後のスデル儀礼の際に付加された可能性は考えられる。

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2018/10/22

アンチの上貝塚の位相 12

 アンチの上貝塚Ⅱ期調査の小貝塚には、面白い特徴が見られる。

 ここでは、ヤドカリの腹部は、チョウセンサザエ等のサザエ科か、サラサバテイラ等のニシキウズ科が化身態と考えられている。

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 そこには規則性があり、円形の小貝塚5、6は、女性がサザエ科、男性がニシキウズ科になる。一方、細長形の小貝塚4,7は男性がサザエ科、女性がニシキウズ科になる。なぜか、小貝塚5、6は男性が多く「あの世へ還り」、小貝塚4、7では、女性が多く還っているが、これは意図ではなく結果だと捉える。

 小貝塚5と6の対は婚姻相手を指す。小貝塚4と7も同様。同じ科の男女同士のなかに、「をなり-えけり」関係が組み込まれている。


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2018/10/21

アンチの上貝塚の位相 11

 アンチの上貝塚について、修正を加えて再整理する。複雑なことに変わりないが、構造化と人数の推定を試みる。

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 各場の内容と推定人数をあげる。

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 この貝塚かわ分かる足跡は、2178人いて、765人があの世へ還り、816人がこの世に現れている。しかしこれは大きすぎる数だ。

「あの世へ還る」場は四つ設けられている。これは、相互に婚姻をする四つの「をなり集団」だと考えられる。

 単純に一集団を50人とすれば、50×4×10=2000となり、10世代を経たことが示される(45人の場合、12世代)。ひとつの世代を30年とした場合、アンチの上貝塚は、300~360年間、営まれたことになる。この間、何度メタモルフォーゼ儀礼が行われたか分からないが、貝塚を移動せずに同じ場で行ったことは分かる。

 特異なのは、「この世にいる」場の人数が、女性1072人、男性1055人と、女性の方が多いことだ。その後、女性348人と男性417人が「あの世に還る」。代わって「この世に現れる」のは、女性364人と男性542人。加減すると、女性1088人、男性1090人となって、やや男性人数が回復したように見える。

 ただし、「この世に現れる」には成人化も含まれるから、それを考慮すると、人数減の可能性もある。また、男性が多すぎるのも気になる。この男性数のぶれは、あるいは貝の贈与のために礁斜面に出かけることによる「あの世に還る」頻度の問題なのかもしれない。

 構造化すれば、次のようになる。

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 「この世にいる場」を起点とした「スデル」「還る」「現れる」が、二重化しているのは、「をなり」ゾーンと「えけり」ゾーンを分けるためだ。ヤドカリ・トーテムは男女の結合を表すから、母系社会にとっては危機だった。兄妹始祖神話が語るように、島人は性交の間接化でこれを切り抜けるが、このことを表現したのが、アンチの上である。

 貝の構成をみると、彼らがヤドカリをどう捉えていたかが分かる。ヤドカリのうち、宿貝と腹部が女性であり、頭部と腹部が男性になる。少なくとも初期はそう考えられる。そして、貝なので女性中心にしか見えないが、カニも忘れられていない。カニ(と胞衣)も同等の比重で構成のなかに入れられている。

 「この世に現れる」場では、「スデル」場に比べて、宿貝と腹部の比重が、やや高まるが、カニの構成はなくならない。彼らはメタモルフォーゼを決して急いでいないのだ。


 

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