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2018/10/21

アンチの上貝塚の位相 11

 アンチの上貝塚について、修正を加えて再整理する。複雑なことに変わりないが、構造化と人数の推定を試みる。

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 各場の内容と推定人数をあげる。

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 この貝塚かわ分かる足跡は、2178人いて、765人があの世へ還り、816人がこの世に現れている。しかしこれは大きすぎる数だ。

「あの世へ還る」場は四つ設けられている。これは、相互に婚姻をする四つの「をなり集団」だと考えられる。

 単純に一集団を50人とすれば、50×4×10=2000となり、10世代を経たことが示される(45人の場合、12世代)。ひとつの世代を30年とした場合、アンチの上貝塚は、300~360年間、営まれたことになる。この間、何度メタモルフォーゼ儀礼が行われたか分からないが、貝塚を移動せずに同じ場で行ったことは分かる。

 特異なのは、「この世にいる」場の人数が、女性1072人、男性1055人と、女性の方が多いことだ。その後、女性348人と男性417人が「あの世に還る」。代わって「この世に現れる」のは、女性364人と男性542人。加減すると、女性1088人、男性1090人となって、やや男性人数が回復したように見える。

 ただし、「この世に現れる」には成人化も含まれるから、それを考慮すると、人数減の可能性もある。また、男性が多すぎるのも気になる。この男性数のぶれは、あるいは貝の贈与のために礁斜面に出かけることによる「あの世に還る」頻度の問題なのかもしれない。

 構造化すれば、次のようになる。

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 「この世にいる場」を起点とした「スデル」「還る」「現れる」が、二重化しているのは、「をなり」ゾーンと「えけり」ゾーンを分けるためだ。ヤドカリ・トーテムは男女の結合を表すから、母系社会にとっては危機だった。兄妹始祖神話が語るように、島人は性交の間接化でこれを切り抜けるが、このことを表現したのが、アンチの上である。

 貝の構成をみると、彼らがヤドカリをどう捉えていたかが分かる。ヤドカリのうち、宿貝と腹部が女性であり、頭部と腹部が男性になる。少なくとも初期はそう考えられる。そして、貝なので女性中心にしか見えないが、カニも忘れられていない。カニ(と胞衣)も同等の比重で構成のなかに入れられている。

 「この世に現れる」場では、「スデル」場に比べて、宿貝と腹部の比重が、やや高まるが、カニの構成はなくならない。彼らはメタモルフォーゼを決して急いでいないのだ。


 

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