宮古島アラフ遺跡の遺構3
アラフ遺跡から出土した貝斧は、それぞれの貝と部位が調べられている。
(「沖縄考古学ニュース - 沖縄県立博物館・美術館」2009)
ヒレジャコの右殻放射肋。
オオジャコあるいはヒレナシジャコの右殻後背縁部(ちょうつがい部)
オオジャコあるいはヒレナシジャコの放射肋部。
オオジャコあるいはヒレナシジャコの左殻後背縁部(ちょうつがい部)
(『アラフ遺跡調査研究Ⅱ』)
土器をつくることなく、石器も希少にしか出ないとしたら、宮古の島人は、別のものにトーテム表現を求めたことになる。それは、貝斧だ。しかも、土器でも石器でもないとしたら、貝斧は男女両方に伴われたことになる。そうだとしたら、貝斧には男女の性が当てられているはずだ。
ここで貝斧の多くを占める蝶番部を使ったものが女性。アラフ遺跡でセットで出ることになった放射肋を使ったものが男性と見なせる。シャコガイのふたつの殻をつなぐ蝶番部を持つのは女性。男性は女性の一部だから、放射肋部が男性だ。
A:蝶番部
B:放射肋部
(山極海嗣「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明 : 遺跡属性と生態資源利用の地域間比較を通した文化形成の考察」)
そこで、1と3は男性。2と4は女性ということになる。シャコガイがその他の二枚貝の殻と同じ意味を持つとしたら、左殻を使った4が、右殻を使った2に対して年長ということにもなる。並んで揃えられた2~4のシャコガイはオオジャコあるいはヒレナシジャコとされている。これが同一の種類であれば、2~4は兄弟姉妹関係であるのかもしれない。
この4つの貝斧が示すのは、同一母の兄弟姉妹と、近親の男性(たとえば従兄)だとしてみる。添えられた枝サンゴは、3と4の子に当たるかもしれない。
これは、直接的には兄弟姉妹とその子であるとともに、兄弟姉妹婚禁止前に苧麻人からサンゴ礁人へメタモルフォーゼした始祖であるという意味を持つのではないだろうか。
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