古宇利原遺跡の位相
古宇利原遺跡は室川式土器が主体だが、貝類からは、ミナミオカガニ段階(後期)と判断できる。
この貝類は、「環状集積遺構」から出たものだ。
この遺構について、報告書では次のように記述されている。
遺構の取りはずしは、遺構内の北側中央部から実施した。結果、内面側の小礫が多く外側に比較的大きなものを使用するもので、礫間はいずれも密にある。最終的には第11’図にあらわした様に外周礫は列をつくることが知られた。しかし東西南北の4辺は石列のあり方に若干の違いが存在する。西側は立方形(大きさ30cm)の大形礫を立て並べているのに対し、北側は扇平小礫を6数段積み重ね並べてある。一方東側はやや雑然と積み上げたものでキリツ性はみられない。南側は先にも触れたが、あいまいである。なお遺構の下部の礫はいずれも直接、基盤の岩盤に接するものではなく、2~3cmの暗褐色土にのっている。遺構を構成する石質は、石灰岩を主体とするものであるが、なかに粘板磯、サンゴ磯砂岩(石器)等が使用されている。(『古宇利原遺跡発掘調査報告書』)
これは、シャコガイ=サンゴ礁の破片によるカニ・トーテムの表現ではないだろうか。
横からみると、サンゴ礁に似る。
「大形獣の骨髄を素材とした」「棒状製品」は、オカガニの鋏。ホラ貝も同様。
貝製品は、カニの脚。
遺構のⅡ層上部からはジュゴンの「肩甲骨、助骨、歯?等」13点も出ている。カニの鋏、脚だ。
遺跡は、「標高6mの石灰岩風化土壌の赤土上に形成されてい」る。オカガニ遺跡にはふさわしくない。古宇利島をあの世にした人々にとっての、オカガニへのメタモルフォーゼ表現が、この遺構の意味だと考えられる。
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