用見崎遺跡Ⅵe層の貝類
用見崎遺跡のⅥe層の貝類。このサンプルは、メッシュで細かくふるいをかけられているので、微小な貝類もピックアップされている。
黒住耐二は、ピックアップ法ではマガキガイが見られるが、ここではほとんど出土していないので、過小評価されている可能性を指摘している。
(黒住耐二「1996年の用見崎遺跡調査でコラムサンプルから得られた貝類遺存体」)
こうしてみると、ピックアップ法でお馴染みの貝類が、微小な陸産の貝に交じって出てくる。陸も重視される場合、本来、島人が採った貝はこういう構成になるのかもしれない。微小な世界を見ても、コモンヤドカリが示されているからだ。
礁斜面のギンタカハマ、サラサバテイラ、ホラガイ、干瀬のムラサキイガイレイシ(2)、アカイガレイシ、ツタノハが1個体ずつ検出されており、コモンヤドカリ段階と判断できる。
ヘビガイはサンゴが生え、周りに粘膜を張る。そのことで、サンゴの成長が鈍り、白くなることがあるのではないだろうか。ヘビガイは、マツノト遺跡の下層、平安山原のⅡ群(54位、66個体)、安良川遺跡でも出土している。コモンヤドカリの指標になる貝かもしれない。
スナガイやオカチョウジの殻の先は赤みがかる。シラヒゲウニは、棘の赤いものが採られたに違いない。フジツボも赤く染まるものがある。
キカイノギセルは画像を得られないが、幼貝は三角錐に近い。幼貝と成貝はほぼ同じ数だけ採られている。成貝は腹部で、幼貝は鋏なのかもしれない。
細部にいたるまで、化身の眼を働かせているのには驚かざるをえない。
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