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2018/05/14

ナガラ原東貝塚のⅣ層貝

 ナガラ原東貝塚のⅣ層では、主な貝の位置も記録されている(『ナガラ原東貝塚の研究』)。

 シャコガイは、3125。マガキガイは、1775。ニシキウズガイ科が1351。ここで、

 (マガキガイ)+(ニシキウズガイ科)=1775+1351=3126。と、ほぼシャコガイの数と同じになる。この一致を偶然とせずに考えてみたい。というのも、これまでの考えだとマガキガイは男性性が強くニシキウズは女性性が強い。もう少し言えば、Ⅳ層はコモンヤドカリ期とみなせる。そうだとすれば、マガキガイは鋏、ニシキウズガイ科は腹部を意味している。

 この他にも、レイシ類・オニノツノガイ・チョウセンサザエ等も出土している。

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 そして、この貝類は、シャコガイの分布とよく重なると指摘されている。

レイシ類、オニノツノガイ、チョウセンサザエなどの分布はシャコガイの分布とよく重なる。シャコガイ、マガキガイ、ニシキウズガイ科貝類は、種ごとに廃棄されることがあり、レイシ類、オニノツノガイ、チョウセンサザエなどはシャコガイとともに廃棄されることがあったのかもしれない。

 これは強い連想を呼び起こす。このセットはコモンヤドカリを示すのではないだろうか。

 シャコガイ:貝の殻
 チョウセンサザエ:腹部
 レイシ類:大きい方の鋏
 オニノツノガイ:細い方の鋏

 この四体がセットになっているのは、トーテムであるヤドカリの表現なのだと思える。

 で、シャコガイの分布には興味深いことがある。

Photo

 シャコガイは、10数%の割合で合弁関係が認められていて、その関係を考古学者たちは図にしてみせた。シャコガイは、合弁のまま出土しているのものもあれば、近くにあるもの、そして例外的には離れた場所にあるものもある。

 コモンヤドカリ期は、性交と妊娠の因果の認識を受容した段階に当たる。兄弟姉妹婚はすでに否定されている。しかし、以前見たように、兄弟姉妹婚の禁止のあとにも母系社会は継続されていたと考えられる。

 推理してみると、この合弁関係は、婚姻後にも継続する兄弟姉妹関係を示しているのではないだろうか。つまり、をなり-えけり関係だ(合弁のまま出土しているシャコガイは、兄弟姉妹婚)。シャコガイは約3000体だ。合弁率15%として、450個体で225組になる。仮にⅣ層が100年続いたとして、その間4世代が経過するとすれば、約55組の換算になる。ナガラ原東貝塚の集落が55世帯を持つ規模だったのかは分からない。まだ多い気もする。

 しかし、このように考えると、やや多いマガキガイは男性の人数(貝の数は、年齢階梯ごとに増やすとすれば、1人当たり複数になる)を示し、ニシキウズガイ科は女性の数を間接的に示すことになる。

 こうだとしたら、貝塚の貝類は、廃棄されたものではないのは言うまでもないとして、単にトーテムを表現するというにとどまらない、もっと選択性の強いものだったことになる。ぼくたちは、貝塚時代について、より多くのことをここから復元できることになる。


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