宮古島アラフ遺跡のトーテム段階
発刊されたばかりの『アラフ遺跡調査研究Ⅱ』を購入することができたので、貝塚のトーテム段階を探ってみたい。
約2900年前のⅦ層は、チドリマスオ科やフタ(おそらくチョウセンサザエ)が圧倒しており、苧麻段階を示している。これは、長墓遺跡の年代とも符合している。Ⅴ層まで継続する。
表中には出ていないがヒザラガイが出ている点も長墓遺跡と共通する。Ⅴ層では、イソハマグリの集中が見られるのも苧麻段階を示している。
Ⅳb層は、貝溜まり遺構からサンゴ礁トーテム段階と判断した(参照:「宮古島アラフ遺跡の貝溜まり遺構」)。チョウセンサザエの他、ニシキウズガイ科ではサラサバテイラが予想できる。
Ⅱ層は、アマオブネが圧倒している。ソデボラ科やアッキガイ科もあり、かつウシも出土しているので、ムラサキオカヤドカリ段階と考えられる。しかし、フタよりサザエ自体が上回っていて、コモンヤドカリ段階の可能性を残している。
おおざっぱなカウントなので、数は正確ではないかもしれないが、Ⅱ層の貝は、クモガイとサラサバテイラの数が近い。そしてその加算が、シャコガイに近い。ここでは、男性と女性は、クモガイとサラサバテイラで表現されているのではないだろうか。サザエのふたは、何らかのまとまりを示すと思える。
Ⅲ層も、アマオブネが優占している。カワニナ科やタマキビ科の出土も多く、これはツノメガニ・スナガニ段階を示すのではないだろうか。カニの腹部はフタで表現されている。Ⅲ層では、カニ類も出土している。
アラフ遺跡が示すトーテム段階は、苧麻、サンゴ礁、ツノメガニ、ムラサキ(コモン)ヤドカリという四段階にまたがることになる。
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