具志川島遺跡の洞窟の意味
ここで考えてみたいのは、具志川島の遺跡の中身だ。
調査の整理上、「灰土」と書かれているのは、「保存状態が良好な炉跡」。
本報告では焼土遺構または灰土遺構として報告するが、これらはすべてマウンド状に保存された炉跡である。また、本遺跡の炉跡には、石蒸料理の結果残されることになったと思われるいわゆる焼石遺構も存在することがわかった。これらは若干掘り込まれており、厚い灰層は形成せず、黒色に焼けた石が存在する。さらに、理由は不明だが、砂が赤く変色してマウンド状に残される遺構(焼砂遺構)も複数検出された。(『具志川島遺跡群』)
ここで灰土と焼石は同じに扱っていいことになる。しかし興味深いのは、灰土、焼石、焼砂での貝の構成はだいたい同じであることだ。
ここに集骨を加えてみても、そこでも貝の構成はさして変わらない。つまり、貝塚の貝の構成は、灰土、焼石、焼砂、集骨で大きくは変わらない。
広くいえば、貝塚のなかに人骨も置かれたということだ。もっと言えば、人骨と貝は等価という視線が生きている。
前3期、シャコガイがトーテムになる。洞窟の奥の方へシャコガイは置かれている。貝塚の貝は、陸上の貝である洞窟へ貝の霊を返すために置かれたものだ。
ここに人骨はない。この段階では、あの世はこの世と空間的に分離されていないので、遺体は別の場で樹上葬あるいは台上葬で葬られていたはずだ。
前4期、あの世がこの世から分離されると、洞窟に人骨が置かれるようになる。陸上の貝を通じて、霊を貝へと送るのだ。
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