平安山原B・C遺跡の位相 5
黒住耐二は、報告書のなかで重要な指標を挙げている(『平安山原B・C遺跡 (北谷町文化財調査報告書 ; 第40集』)。
この貝のサイズ変化は、オウギガニ・トーテムとコモン・ヤドカリトーテムにおける意味の変化を示していると考えられる。
シンボリックなのは、サラサバテイラで、③では殻径の小さなものが採られていたのに対して、Ⅲ5では、大きいもののみ採られていることだ。これは、オウギガニの爪から、コモンヤドカリの腹部へ意味を変えたことを示している。
もうひとつ大きく意味を変えるのは、チョウセンサザエの蓋で、これはオウギガニの腹部から、ヤドカリの頭部へと意味を変えると思える。そこで、③ではやや長めのものが採られていたのが、Ⅲ5では長めのものに集中する。
マガキガイの殻高は、爪である。Ⅲ5でやや長めものが多く採られるのは、コモンヤドカリの爪がオウギガニより長めに見なされたからだ。
こうしてみると、Ⅲ5(Ⅲ群下層)は、コモン・ヤドカリ期であり、③はオウギガニ段階だと見なすことができる。Ⅲ1~2はこれに対して、オウギガニ段階からコモン・ヤドカリ期への移行を示している。
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