面縄貝塚の貝類の段階
まず、あまりサンプルを見ることのない前2期から入る。オキナワトカゲのトーテム段階だ。
陸域が、他の段階に比べてやや高めなのは意味を持つ。トカゲの生息域に対応するからだ。その中身は、小粒の螺肋のあるマイマイ類が主になる。
具体的に上位10位の貝を見てみる。
オハグロガキは、おそらく殻口のギザギザとトカゲの口の歯との類似が捉えられている。口は、波照間島の外耳土器でも注視されていた。
カワニナは、爪だと思う。大ヤマタニシは、生息域の他には、トカゲの尾である。オキナワトカゲは大ヤマタニシを捕食するのではないだろうか。イソハマグリは、貝表面の光沢が、照っているトカゲの表皮に似る。それは、81位のハスメザクラも光沢の美しい貝であるところにも表れている。
アマオブネ、イシダタミアマオブネ、オキナワイシダタミ、リュウキュウシラトリは、オキナワトカゲの表皮の模様が似ている。
マガキガイは、表皮の色と爪ではないだろうか。
問題は、前4期とされる第2貝塚だ。これは貝類の棲息地を見る限り、後11期のしかもオウギガニ段階と似ている。とくに扇形の貝が入ってるところなどは。
サンゴ礁の潮間帯や干瀬に寄る傾向は、あるいはサンプルを見ることのない前5期のを示すのかもしれない。しかし、貝塚は海の近くにあり台地上でもない。
このなかで、クモガイ、スイジガイなど突起を持つ貝は、オウギガニの段階でよく現れてくるものだ。ミミガイもオウギガニの腹節を思わせる。
ツタノハ、コウダカカラマツ、クロチョウガイなどの扇形の貝は、苧麻の葉にも似るので、これは前4期ともみなせる。しかし、陸産の貝類が0.1%であるのは、前4期の特徴とは言えない。
黒住耐二は、第2貝塚について、「沖縄諸島の前4期とは異なり、同諸島の後1期の組成に類似し、貝類採集状況が徳之島において時代をさかのぼる可能性が出てきた」と指摘している。
前5期のサンプルが少ないので、はっきり判断できないが、後1期オウギガニ段階を示しているのはたしかだ。
陸域の構成比がやや高いところはオカガニ段階を示している。
オオヤマヤマタニシが、オカガニの化身貝だ。17位のキヌカヅキイモなど、茶系の貝類は鋏をよく示している。一方、6位のイソハマグリなどは、次のスナガニの段階が重ねられているのかもしれない。
最後に後2期とされている第1貝塚を見てみる。
貝類の棲息地は、ヤドカリ・トーテム段階の特徴を持っていると言える。ただ、成長肋を持つ貝がなく、扇形の貝の高さは、オウギガニ段階を考えさせられる。
ウニ類は、ヤドカリ・トーテムを示唆すると見なせる。リュウキュウヒバリはヤドカリの腹部だ。ヒザラガイも同様ではないだろうか。ミドリアオリ、ツタノハも、オウギガニとの類似があった貝だが、ここではヤドカリに重ねられているのだと思える。前段階の化身貝に、新段階のトーテムとの類似が見い出され、継続した貝ということになる。
こうしてみれば、これはオウギガニ段階ではなく、ヤドカリ段階と見なしていい。
ヤドカリについては、平滑な腹部(平安山原)、宿貝(カイジ浜)、節を持つ腹部(面縄)、脚と棘(面縄)、全体像(面縄)といくつかの視線が分かる。
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