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2018/04/17

平安山原B・C遺跡の位相 2

 より詳細にみるために、貝を科ではなく、似たものでまとめてその推移を辿ってみる。

3

 ここで、族としてまとめているのは、見た目の類似によるが、まだ細分したり厳密にしたりする余地を残している。

 もっとも上昇している砂族は、砂場に限らず岩場にもいる二枚貝を含めている。このなかで上昇著しいのがイソハマグリだ。目立たないが、小さく伸びているのは、ナミノコマスオとリュウキュウナミノコ。

 下降しているのは、岩場の二枚貝でカワラガイ、ホソスジイナミ、ヌノメガイ、リュウキュウサルボウだ。どれも放射肋が目立つ。ただ、ヌノメガイは成長肋が目に入るので、他とは違う理由があるのかもしれない。

 放射肋が目立つものでまとめているのが、アラスジ族で、アラスジケマン、カワラガイ、ホソスジイナミ、リュウキュウサルボウ、リュウキュウマスオになる。

 放射肋の目立ちが捉えられているのは、シャコガイとの類似によるものだ。ということは、これらの貝は、放射肋と成長肋の目立ち方で分けるのがよいと思る。ただ、ヌノメガイの場合のように、成長肋が目立っても減少しているものがあるのは、殻表面が滑らかであるかどうかに依っているのかもしれない。それは、ヤドカリの腹部が柔らかであることに対応している。

 放射肋族
 成長肋族
 スベスベ成長肋族

 オウギガニの段階では、ヒメジャコが優占することが多いので、ヒメジャコ族としているが、シャコガイのことだ。シラナミ、ヒメジャコ、シャゴウ、ヒレジャコのどれも減少している。これはそのまま放射肋が目立つ貝の減少と呼応している。これは、カニの腹部では腹節が目立つのに対して、ヤドカリの腹部がスベスベしているのに対応している。ただし、ヤドカリも貝族なので、関心が消失するわけではない。このなかでは、ヒレジャコの減少幅は小さい。

 この遺跡では、マングローブの主であるシレナシジミが登場しないが、シレナシジミは成長肋が目立つが、スベスベはしていないので、成長肋族に入るとみなしておく。

 蓋族としたのは、貝の蓋が石灰質などでできて硬質で、貝そのものと見なされたものを指している。チョウセンサザエの蓋は微増、ヤコウガイの蓋は微減、カンギクの蓋は増加している。これらの傾向は、蓋そのものへの関心は持続し、ヤドカリとの関連が捉えられたものが増加していると考えられる。

 丸族としたのは、アマオブネやマイマイなど、小さくて丸っこいものを入れている。オキナワヤマタニシ、バンダナマイマイ、カンギク、ニシキアマオブネ、カツレンマイマイ、アマオブネで、カツレンマイマイ以外はどれも増加している。ヤドカリの宿貝になることが増加の背景にあると考えられる。

 巻貝は、カニの鋏と見なされるので、大きく鋏族とした。「▽鋏族」としたのは、円錐の形をして、殻口が錐の方にあるものだ。

 微増の傾向を持つのは、アンボンクロザメ、ナンヨウクロミナシ、サラサミナシ、ゴマフイモだ。どれも長めの貝であり、オウギガニよりヤドカリの方が、鋏が長いとみなされたことに依る。カバミナシは長めだが微減している。赤みを帯びた黄色がヤドカリと似ていないとみなされたのかもしれない。

 それはマガキガイがもっともよく示している。カバミナシだけではなく、イボカバイモやヤナギシボリイモも、長い鋏なのに減少している。もともと、ヤドカリも鋏だけ取ってみれば長いとは言えない。マガキガイはなぜ横ばいになるものの、減少するのだろう。

 それは、ヤドカリが宿貝から顔を出している部分が男性と見なされたことに依るのではないだろうか。そこで、赤系の色であるマガキガイは減少し、それが希薄なアンボンクロザメが微増する理由になっている。それとともに毒を持つことも男性性の強い要素だった。

 マダライモ、ジュズカケサヤガタイモ、イタチイモ、イボシマイモなどは、短い鋏で、オウギガニがトーテムとして去るのに合わせて採られなくなっている。

 「▽鋏族」については、色と長さで選択されていると言えそうだ。

 タカラガイは、「〇鋏族」とした。ホシダカラは微減で、ヤクシマダカラ、ハナマルユキ、ハナビラダカラは微増している。微増微減の範囲だが、ホシダカラよりは、ヤクシマダカラ、ハナマルユキの方が、表面の褐色が強く、ヤドカリに似ているとはいえる。ハナビラダカラが増えるのは、平滑で光沢のある背面とヤドカリ腹部との類似に依るのではないだろうか。

 円錐的で、円の方に殻口のあるのが、「△鋏族」。おおむね微減で、これは鋏の形の類似がカニのときより重視されなくなったのを示しているのかもしれない。サラサバテイラは減少するが、ニシキウズとギンタカハマは微増している。

 円錐を二つ重ねたような形のものが「△▽鋏族」。個々には微増微減だが、全体としては減少する。これは、クモガイ、スイジガイの減少によるところが大きい(特にクモガイ)。これは、形がカニそのものに似ていることに依ると思える。だが、その他もおおむね殻に尖りを持っていて、それはカニにしてもヤドカリにしても脚を持つことに呼応している。

 これは、尖りのみでまとめた「棘族」についても同様のことが言える。

 「陸族」は、マイマイなどで、オキナワヤマタニシ、バンダナマイマイ、カツレンマイマイ、シュリマイマイは、カツレンマイマイを除いて微増する。これは、ヤドカリが陸にも棲むことに依っている。

 「岩族」は、岩に張り付いて岩そのものに化しているように見えるものや、岩そのものに見えるものを入れている。しかし、微減しているメンガイは、むしろ放射肋族に入れるのがいいようだ。クロチョウガイもそれは同じかもしれない。

 まだ精緻さが足りないが、ヤドカリの場合、腹部(貝)がスベスベしていることが重視される。鋏は男性性を強めているとは言えそうだ。

4

 これらを貝の棲息地の推移として見てみると、干潟-マングローブ域の減少が目立つ。これはあるいは、キバオウギガニなど、干潟に棲むオウギガニもトーテムだったことを示唆するのかもしれない。

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