竹富島カイジ浜貝塚の貝 3
竹富島カイジ浜貝塚のトーテム段階の位相を、改めて測ってみる。
カイジ浜の「外洋-サンゴ礁域(Ⅰ)」の構成比は、平安山原との比較からみると、すでにヤドカリ・トーテムの段階に入っているように見える。干瀬の表現は、Ⅴ層からⅢ層にかけて減っている(16%→3%)のもそれを示している。ただ、イノー(Ⅰ2)の表現は、平安山原のオウギガニ段階よりも高い。
気になるのは、平安山原の場合、スベスベの成長肋を持つ二枚貝がヤドカリトーテムを象徴していたのに対して、カイジ浜ではそれが極めて低い(2~3%)ことだ。ここだけを見ると、オウギガニ段階と判断したくなる。
ただ、「竹富島のカイジ浜貝塚でも大形のオカヤドカリ類の集中を確認している」(黒住耐二「貝類遺体からみた遺跡の立地環境と生活」)ことからすれば、カイジ浜貝塚は、ヤドカリ・トーテムの段階に至ったことは確かだと思える。
これは、貝類からトーテム段階を測る場合、「立地」が、「貝の種類」よりも優先されることを意味している。
ただ、二枚貝に依らなければ、スベスベした殻は、カイジ浜でも選ばれている。だがこれが主たる目印にならないといたら、どこを見ればいいのか。
特徴的なのは、カイジ浜では螺肋の貝の構成比が高いことだ。そこで、その貝類を具体的に見ていく。
マガキガイを脇に置くと、カイジ浜で多いのは、イシダタミアマオブネ、アマオブネ、オキナワウスカワマイマイである。これですぐに連想するのは、ヤドカリの宿貝であるということだ。
ここではひとまず、ヤドカリ・トーテムの示すものとして、腹部が主たる関心になる場合(イソハマグリ)と、宿貝が主たる関心になる場合(イシダタミアマオブネ)があるという基準ができることになる。これは、どちらにしても、「貝」への注目でることに変わりはない。
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