名蔵貝塚の位相 2
ここで改めて石垣島名蔵貝塚のトーテム段階の位相を測ってみる。
名蔵貝塚の貝類は、干潟の表現が多く、放射肋の発達した貝類が7~8割を占めており、シオマネキ段階にあることは確かだと思える。典型的なシオマネキ段階と言ってもいいかもしれない。
また、スベスベした成長肋を持つ貝構成の低さ(4.3%、1.3%)から言っても、スナガニ段階はすでに過ぎている。そこで、オウギガニ段階の兆候が見られるかどうかを確認してみたい。
気になるのは、棘上にもなる突起の目立つ貝の構成が、オウギガニ段階と類似していることだ。
名蔵貝塚でこの特徴を発揮しているのは、シロザルガイだ。これは、新城下原遺跡でいえば、シロキクザルと同等のものだ。
このなかで、オウギガニ段階らしさでいえば、クモガイで、ⅤからⅡ層にかけて、0.1%から0.3%へと構成比を高めているのは、進展を感じさせる。
干瀬のない名蔵貝塚では、ツノレイシやテツレイシなどの表現はオウギガニ段階になっても希薄になると思える。そこで、クモガイやスイジガイは指標になりうるものだ。
オウギガニ段階では、シャコガイ科の構成も高まっていくと考えられるから、それもⅤからⅡ層にかけて高まっているのは、オウギガニ段階への推移を感じさせる。
名蔵貝塚は、シオマネキ段階の隆盛期と位置づけてみる。
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