安良川遺跡のオカヤドカリピット 2
8世紀の安良川遺跡から出土したヤコウガイは極端に小さい。木下尚子は、笠利半島東海岸で200年以上継続したとみられる大型ヤコウガイの選択的捕獲が、「ヤコウガイに執着する生業の偏り」を生み、「ヤコウガイを小型化」させたのではないかと書いている(「ヤコウガイ交易の可能性」)。
一方、安良川遺跡からは、ウニ土坑、ヤドカリ・ピットも発見されている。これは、ヤドカリがトーテムであったことを示すだけではなく、その主がムラサキオカヤドカリであることを示している。
出土状態が重なってヤドカリが詰まった状態で出土していることからバスケット状の龍に入れられていたと思われるが不明である。また,食用していたのかどうかも不明である。まとまって殻に入った状態から判断して、湯がかれた物と思われる。近くには夜光貝の入った掘り込みも確認されている。(「安良川遺跡」)
この状況は示唆的だ。湯がかれたかもしれずバスケットに入れられたムラサキオカヤドカリは、トーテムをあの世へ送ることを意味している。それは、小型化しているヤコウガイの増殖を願うものだと考えられる。ヤコウガイとは、ムラサキオカヤドカリの化身貝なのだ。
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