新城下原第二遺跡のトーテム段階 1
新城下原第二遺跡のⅤ層には、川跡の層が乗っている。浜屋原式土器は、Ⅴ層で66%、川跡で61%を占め、Ⅴ層の方が高いが、どちらも浜屋原式土器の段階にあると想定して貝類を見てみる。
浜屋原式土器が象徴するのは、シオマネキ・トーテムだ。Ⅴ層でいえば、それはタママキガイに示されている。これは、カニの腹節との類似が捉えられたものだと言える。それは、スダレハマグリやイソハマグリにも言える。
3位のリュウキュウザルも同様だが、放射肋の目立つ貝の選択は、シャコ貝トーテムの類似を捉えたものだ。それはカワラガイ、アラスジケマンにも言える。
イボウミニナ、カワニナのような長い円錐状の貝は、シオマネキの長い鋏との類似が捉えられている。
ホウシュノタマ、クマノコは、美しい。シオマネキ・トーテムの段階では、シオマネキがそうであるように、色は重視されたと思える。しかし、このふたつはそれだけではなく、硬い蓋が重視された。それはそのまま貝を示すと考えられたのだと思える。
こうしてみれば、約6割は腹節との類似が重視されている。
川跡の層では、Ⅴ層で3割を占めたタママキガイに代わり、約4割をアラスジケマンが占める。これは発達した放射肋にシャコ貝との類似を見たもので、同じことはホソスジイナミにも言える。
ついで多いのはチョウセンサザエの蓋だ。これは、Ⅴ層のホウシュノタマクマノコ、川跡では、オキナワヤマタニシ、カンギクも同様で、蓋そのものが貝あるいはカニの腹部と見なされている。
ヒメジャコは、サンゴにはまり込み岩化するありかたがカニであり、色の美しさはシオマネキ(特にルリマダラシオマネキ)との類似が捉えられている。
腹節との類似は、イソハマグリ、シレナシジミ、オイノカガミ等によって捉えられた。ただ、、シレナシジミは、干潟・マングローブにおけるシャコ貝のように主として考えられていると思える。
鋏は、マガキガイ、ヒラマキイモ等に示される。
川跡では、シャコ貝トーテムとの類似がもっとも重視されている。それは1割強が蓋の重視で選ばれていることにも示されている。外套膜の美しさは、ヒメジャコ、シラナミを選ばせているが、シオマネキ・トーテムが一方で示唆するのは、もともとのトーテムであるシャコ貝の存在だ。これは、前5期においてサンゴ礁がトーテムとみなされ、シャコ貝が胞衣の産物と見なされていることを同時に示すものかもしれない。
Ⅴ層と川跡の層を比べると、川跡の方がよりシオマネキを示唆していると言える。それは、12位のマガキガイが示すシオマネキのシャープな鋏だ。
もうひとつある。川跡の底面からはアンボンクロザメ等のイモガイの集積が見つかっている。
これは報告書では、「意図的に川底に集積したものと考えるのが妥当」とされている。貝交易との関連ばかりが指摘されるが、これがそもそも示しているのは、シオマネキ・トーテムの段階だ。それが、鋭角な円錐であるイモガイを集めた根本的な理由になる。
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