ヤドカリ・トーテムの化身貝
ヤドカリ・トーテムの化身貝は何だろうか。ヤドカリは、貝を背負っているから、もともと貝を持っているというのは、現代のぼくたちの見方で、先史の島人は、蟹と貝を一体とみなし、そのうえで、ヤドカリの化身態としての貝を見出したはずである。
「ナガラ原東貝塚の貝類遺体」(黒住耐二)のでデータを、貝塚時代後1期、後2期のものに仕分けして、ランキングの差異を見てみる。
すると、後2期になって順位が上昇する貝には、尖ったもの、貝殻に尖りのあるものが目立つ。
コオニコブシ(14→4)
シラクモガイ(10→6)
オニノツノガイ(18→10)
ツノレイシ(12→13)
オキニシ(44→14)
イトマキボラ(23→15)
クモガイ(29→20)
メンガイ類(38→31)
ミツカドボラ(54→38)
コオニノツノ(54→58)
エガイ(80→58)
イボソデ(80→68)
シロナルトボラ(80→68)
パイプウニ(80→68)
順位が下がるのは、ガンゼキボラ(21→23)のみで、ヤナギシボリイモ(25→25)、ツノテツレイシ(23→23)、アカイガレイシ(27→27)が同位になっている。
これは、殻の尖りが、ヤドカリ・トーテムの化身貝であることを強く示唆しているのではないだろうか。おそらく、ヤドカリの脚の棘をこれは表現していると思える。
ナガラ原東貝塚による限り、ヤドカリ貝は、コオニコブシに象徴されることになる。
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