下田原貝塚でのトカゲ段階から貝段階への推移
次は、大泊浜貝塚に近い下田原貝塚について、トカゲトーテムから貝トーテムへの転換を探ることになる。
(『下田原貝塚・大泊浜貝塚 第1・2・3次発掘調査報告』(沖縄県文化財調査報告書 第74集)から作成)
もっとも出土量の多い2地区に着目する。報告書では、Ⅱ層とⅢ層に大きな差異が見られるので、両層を比較する。
まず、Ⅲ層からⅡ層で減る貝をみると、最大なのはシラナミガイ(-8.4%)だ。これはシラナミが、トーテムになることを意味していると思える。トーテムそのものは直接採られることは少なくなっていく。
ついで、Ⅲ層からⅡ層にかけて最も増えるのは、シレナシジミ(22.2%)である。大きな増加で、Ⅱ層での構成比は、30%にもなる。このときのトーテム貝は、シラナミだが、採られる貝はトーテムそのものではなく、その化身態だから、シラナミ貝の化身貝は、シレナシジミと見なされたことになる。
その他に、貝ガイとみなされているのは、キヌカツギイモガイ、マガキガイなどだ。これらの貝については、外套膜が茶系の色のシラナミとの類似を見たのではないだろうか。それは、イボカバイモガイ、サヤガタイモガイ、ホラガイについても同じだ。
コマダライモガイは、シラナミの外套膜の黒い斑紋に似ている。
これを見る限り、下田原貝塚で、貝トーテムを迎えていると思える。これは波照間島の伝承と矛盾しない。
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