トーテム貝の累積
大堂原貝塚の貝類(前4期後葉は古宇利原)について、前1期から後1期にかけて見てみる。
(「黒住耐二「貝類遺体からみた沖縄諸島の環境変化と文化変化」)
これをみると、前1期のヘビ貝たちは、いずれも後に活躍する貝たちばかりだ。言い換えれば、役者は最初に顔を出している。つまり、ヘビとのつながりがあるということは、最後まで重要だったということだ。
なかでも、もっとも活躍したのは、マガキガイだと言える。それはトカゲ貝の代表となり、前3~4期にはやや後退するものの、前5期からはサンゴ礁貝としてイノーの雄に躍りでて、その一角は後2期まで担うことになる。
後1期に、カニ貝となるのには、カニとの類似が捉えられたという以上に、ヘビとのつながりは重要だったのではないだろうか。カニは母系社会を象徴しており、兄妹を現すものとして、女性の貝に対して、男性の貝としてはヘビ-トカゲ系列は要請されたと思える。マガキガイ、アラスジケマンは、トカゲとカイの融合として、カニとみなされたのではないだろうか。
この表から分かる限り、それぞれの貝が、主にどのトーテムを背景に持つか、列記しておく。
オキナワヤマタニシ:苧麻、ヘビ
キクザル類:カイ、ヘビ、トカゲ
ヤコウガイ:ヘビ、カイ
メンガイ類:カイ、トカゲ、ヘビ
シャコガイ:カニ、サンゴ礁、苧麻、トカゲ、ヘビ
チョウセンサザエ:カニ、サンゴ礁、苧麻、貝、トカゲ、ヘビ
アラスジケマン:カニ、サンゴ礁、苧麻、貝、トカゲ、ヘビ
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