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2018/03/29

名蔵貝塚の位相

 名蔵貝塚のトーテム段階の位相を推測してみる。

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(『名蔵貝塚群発掘調査報告』沖縄県文化財調査報告書第37集)

 Ⅴ地点とⅡ地点では、アラスジケマンの構成比が大きく異なる。Ⅴ地点では5割近くあり、Ⅱ地点では3割になる。かつ、Ⅱ地区ではアラスジケマンの代わりに似たカワラガイが3割近くになる。

 カニ・トーテムを象徴するアラスジケマンの構成比を見ると、ⅤとⅡでは、Ⅴ地点の方が古い段階を示していると思える。

 また、資料では、「どちらも陸産貝の出土は少なく、Ⅴ地点で淡水産の貝と潮間帯砂底の貝がやや多く、Ⅱ地点では潮間帯岩礁の貝の出土がやや多い」と報告されている。これは、カニ・トーテムのなかでも、陸のカニを過ぎ、Ⅴ地点は、砂と泥のカニ、Ⅱ地点は、岩のカニへと移行していると考えられる。

 この二地点の貝の構成を、波照間島の大泊浜貝塚の貝の構成と比較してみる。大泊浜貝塚では、カニ段階の後半とヤドカリ段階の始まりを確認したので、その両方を挙げてみる。もちろん、両者のサンゴ礁の構成は干瀬の有無で異なっているので、その点は考慮しなければならない。

 名蔵貝塚で、より古いとみなしたⅤ地点の構成比がⅡ地点よりも多い貝で、大泊浜でも出現するのは、興味深いことにメンガイ類のみだ。このことも、Ⅱ地点よりはⅤ地点が古いことを示していると思える。それと同時に、貝の選択は、主体となる貝だけではなく、少ない貝にまで意識されていることが示唆される。

 名蔵貝塚Ⅱ地点と大泊浜貝塚のカニ段階で共通する貝は12種。ヤドカリ段階と共通するのは14種とあまり変わりない。

 ヤドカリ段階を象徴するとみなしているコオニコブシは、Ⅱ地点で2体、出土している。Ⅴ→Ⅱ(名蔵)、そして、カニ→ヤドカリ(大泊浜)と構成比を高めていくのは、クモガイ、シャゴウ、マガキガイ、シラナミだ。

 これを見る限り、名蔵貝塚のⅡ地点は、ヤドカリ・トーテムへの兆候はないわけではないが、カニ・トーテム段階の中葉から後葉を示しているのではないだろうか。それは、科学的に想定されている年代の位置と矛盾しない。(参照:「無土器期の貝塚分布例」

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