伊是名島貝ブロックの貝類 2
伊是名貝塚の貝ブロックから出土した貝類について、最小個体数が100以上のものを対象に、トーテムの苧麻に引き寄せてみる。100以上といっても、オキナワヤマタニシなど陸の貝類で7割ほどを占めるので、1%未満のものにも注意を払うことになる。
(表6-5-1「沖縄県伊是名島伊是名貝塚の1号貝ブロックからの出土貝類遺存体出土状況」『伊是名貝塚 沖縄県伊是名貝塚の調査と研究』(沖縄県伊是名村伊是名貝塚学術調査)から作成)
まず、タニシやマイマイは、葉の上を這い食べるので、植物との類縁は明らかだ。だが、海の貝にしても海の葉の近くにいるものがいる。マガキガイは藻を食べるし、アオマブネ、ヒメオリイレムシロなども海藻のなかにいる。
イソハマグリは、殻に藻がついて緑色がついている部分がある。緑をとると、その下には白い殻のうえに、繊細な曲線が走っている。これは、茎を削いで白い繊維を取り出す苧麻ととても似ている。
オオウラウズ、ハシナガツノブエ、チョウセンサザエは殻が尖っていて、上から見たりすると、苧麻の葉の形をしている。
マガキガイや、ヒメカワノミカニモリ、オキナワイシダタミなどは、殻の内部が四角く区切られている。これは、苧麻の葉に張り廻った葉脈に区切られた部分の形に似ている。島人がそれに注視したのは、伊波式の土器にもよく現れている。
伊是名貝塚の貝ブロックの貝は、前4期をオキナワヤマタニシの比重の高さが前4期をよく象徴しているが、海の貝にしても、苧麻との類似が重視されていたと考えられる。
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