貝塚時代後1期のカニ貝
「ナガラ原東貝塚の貝類遺体」(黒住耐二)から、後1期の貝類を集計してみる。
後1期でも大当式土器の段階だから、後半に位置している。
マガキガイとチョウセンサザエが優勢なのは、前5期から継続しているものだ。後1期の後半でも、これらが優勢なのは、サンゴ礁トーテムの後に、胞衣という思考が発生しているからだと思える。これは、後2期までつづく。胞衣という思考は、シラナミ類が上位にあることにも現れている。
カニ・トーテムとしてのこの段階をもっともよく象徴するのは、シラクモガイやツノレイシだ。これは、カニ・トーテムが干瀬蟹の段階に入っていることも示している。
ただ、干瀬蟹の化身態であれば、ハナマルユキがふさわしいと思えるが、数では優勢ではない。シラクモガイやツノレイシを、ぼくたちは、ツノメガニの化身貝だとみなしている。ツノメガニは浜辺に棲息するのであれば、砂地と干瀬は本質的には区別されていないことを意味している。岸(砂浜・岩場)=干瀬なのだ。
後1期の貝のランキングから見る限りで、蟹トーテムの化身貝を挙げてみると、
ミナミオカガニ - オキナワヤマタニシ、バンダナマイマイ、オキナワウスカワマイマイ
ミナミスナガニ - ハナビラダカラ
ツノメガニ - シラクモガイ、ツノレイシ(干瀬)、キヌカツギイモ
ベニシオマネキ - シレナシジミ
カノコオウギガニ - ハナマルユキ
が想定される。
だが、これらよりもっとも普遍的なのは、ミドリアオリ、リュウキュウヒバリ、イシダタミアオマブネだ。これらはどれも、岩(貝)への化身態として特別なのではないだろうか。
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