トーテム蟹変遷の根拠
蟹のトーテムは、なぜ、陸、砂地、干潟、干瀬のものへと移っていったのか。
まず、蟹は土中や砂中から出現するから、島人の他界が地下のベクトルも持つことは共通して示唆される。
それまで(前5期)、「サンゴ礁」をトーテムとした島人は、サンゴ礁の見える台地上を拠点にしていた。そこで、産卵のため、浜辺に降りるミナミオカガニが、まずトーテム蟹として選ばれる。
そして海浜の発達とととに、次にミナミスナガニ、ツノメガニがトーテム蟹となる。マングローブ、干潟が発達すると、マングローブ、干潟も第二のサンゴ礁、砂浜とみなされ、ベニシオマネキがトーテム蟹となる。
しかし、棲息地だけが重要なのではなかった。これらの蟹たちは、ウェービングをし、音を出す。島人はこのとき、歌い踊る者として自分たちを認識していたはずだ。
サンゴ礁をトーテムとしたとき、重視されたのは浜辺と干瀬だ。こんどは、干瀬の蟹であるオウギガニがトーテム蟹となる。このときは、礁斜面下方の海底が他界として意識されることになる。ここには、海の彼方ではないが、他界の遠隔化が背景にある気がする。
蟹トーテムが終わり、ヤドカリ・トーテムになると、島人はやや内陸に拠点を移すようになる。これは、干瀬の向こうへと移る他界が見える場所へという意味を持つのではないだろうか。
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