「波照間の神話と儀礼」(鈴木正崇)
波照間には、蟹に粟をもらったというだけではなく、「一匹の宿借りが粟の穂を持って来てくれた」という伝承もある(「波照間の神話と儀礼」「民族学研究」1977)。
どちらにしても、トーテム神に映ったまれびとがもたらしたものと考えられる。
鈴木は、祭祀を見たうえで、
・「天」 土、金
・「海」 金、水
・「陸」 水、土
・その他 土、金、水
として、「天」「海」「陸」に関する十干は、相補って「天」「海」「陸」を形作っているが、これは「島の人々が「天」「海」「陸」の一体性意識していることを示すように思われる」と書いている。
石垣島川平の司たちは、「海、天、そして陸―これらは一体のものである」と述べているという。(中略)自然を分類すると同時に一体のものとして把握するという考え方が存在しているのではないだろうか。
これはその通りで、時空未分への回帰が常に志向されていると思える。
また鈴木は、島の神(ウヤーン)が、「夜五回、昼七回」出てくると歌われることから、この神は、「島の農耕期のおわり頃の夏至の太陽を象徴したもの」ということを割り出している。
これは貝塚時代の集石遺構をみるうえでの視点になる。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント