伊計島仲原遺跡の他界
仲原遺跡は、伊計島の石灰岩台地上中央部に立地する。23基の竪穴住居跡が検出され、7期の竪穴住居内から、計8体分の人骨も検出されている。墓構造が判明しているのは1号住居のみ。
1号住居中央部の床面を破壊して、土坑が掘り込まれた廃屋墓で、40cm大程度の平坦なテーブルサンゴを右腕側に置く置石土壙墓である(新里貴之「琉球列島における埋葬遺跡の文化的景観」)。
伊藤慎二は、これについて、「集落空間と埋葬空間の意識が実際に空間的にも直接重複する場合があることを示す一例とみなされる」(「琉球貝塚文化における社会的・宗教的象徴性」)としている。
この廃屋墓の位相を図れば、「死者が出るとキャンプ地を去る」というスタイルから、集落が定着し、「死者が出ると住居を去る」スタイルへ移行し、かつ集団の墓へ移行しないまま他界を発生させた例だと思える。
人骨は、成人女性で、「南頭位の仰臥伸展葬」(新里貴之・同前掲)である。この方位からすれば、他界は島の南の伊計グスクではないだろうか。
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