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2018/01/02

貝塚時代の土器の色

 「沖縄島南部における先史土器胎土の長期的変化に関する一考察」(山崎真治、仲里健「日本考古学」2015)は、土器の胎土について、産地を推定している。こうなると、ぜひとも確認したいのは、土器の色だ。

ヤブチ式土器(前1期)

・褐色~黒褐色。薄手の破片。
・黒色の鉱物粒。顕著な特徴。
・火成岩(黒雲母)

 顕著は、「黒色の鉱物粒」は、黄褐色の地に黒褐色の斑紋が入るハブの特徴を示すのだと思える。

爪形文式土器

条痕文式土器(前2期)

・やや厚手で焼き締りは悪く、粗粒の円礫の混入。
・石英含むものあり。

オキナワトカゲの生息地は、

本種は海岸付近に多く、特に砂地を好むようである。また、琉球石灰岩の岩場にも生息しており、 山地よりは低平地に多い(「爬虫類 - 沖縄県」)。

条痕文式土器

面川前庭式土器(前3期)

・古:石英、砂岩、新:石英、斜長石、黒雲母、砂岩、変成岩。
・肉眼観察で金色に見える長柱状の劈開のある鉱物が含まれることが特徴。
・上記は黒雲母と同定される。

面縄前庭式土器

面縄貝塚出土土器

 見にくいが、この期に属するのは、手前の完成品のように見える土器だと思う。

伊波式土器(前4期)

・チャートの礫が多く含まれる。
・胎土の斉一性が高い。
・石英とチャート

伊礼原遺跡土器

 チャートが入ると、どうなるのだろう。

伊波式土器

荻堂式土器

面縄第2貝塚Dトレンチ出土土器

嘉徳Ⅰ式土器

嘉徳Ⅱ式土器

面縄前庭式土器、二重口縁面縄東洞式土器、嘉徳ⅠA式土器、嘉徳Ⅱ式土器、嘉徳式土器

 見た目、伊波式は白っぽいものもあるが、荻堂式になると赤っぽい。目を見張るのは嘉徳式で、青々としている。この時期の北琉球内部でも土器分離は、苧麻の込め具合いの違いを意味するのかもしれない。

室川式土器(前5期)

・赤褐色の外観
・肉眼観察でも生砕物(有孔虫類の遺骸)が多く含まれる。
・石英粒を主とし、粗粒の生砕物を多く含む。
・生砕物は海浜砂やビーチロックに由来するものではなく、石灰岩に由来する。

仲原式土器(後1期)

・細粒で生砕物を含むものが多い。

仲原式~浜屋原式土器(後1期)

・細粒の石英、斜長石。粗粒の鉱物、岩片は認められない。
・石灰岩に由来する粗粒の生砕物が多く含まれる。

仲原式土器

 仲原式では、橙色も目立つ。

宇佐浜式土器

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