胎土の南北
「胎土分析から見た下田原式土器」(山崎真治、仲里健、仲座久宜「沖縄県立博物館・美術館博物館紀要 / 沖縄県立博物館・美術館 編」2012)。これを、「沖縄島南部における先史土器胎土の長期的変化に関する一考察」(山崎真治、仲里健「日本考古学」2015)に突き合わせてみる。
下田原式土器の胎土。
A:チャート、ホルンフェルス 富崎層
B:片岩 トムル層
C:石英 火成岩(野底層、於茂登岳の深成岩類)
ホルンフェルスは変成岩の一種。
まず、チャートと変成岩の組み合わせの胎土は、沖縄島軟部出土のものにはない(A)。
Bの「片岩」は、雲母に似たり斜長石が含まれたりすることがあるのだとすれば、ヤブチ式がやや似ている。
Cの「石英」は、どの土器にもある。石英の比重が高いのだとすれば、面縄前庭式古段階が近しい。
そうすると、
B:蛇
C:貝
Aを変成岩でとれば、
A:トカゲ
になる。
大田原から出土しているのは、Bがほとんどだから、上記の推定は矛盾することになる。
しかし、片岩は変成岩の一種だから、そういう意味では、Bは沖縄島南部の条痕文系と共通性が出てきて、トカゲと解しうることになる。チャートを多く含むのは、伊波式だから、チャートで取れば、
A:貝と麻
B:トカゲ
C:貝
になる。これはありえるだろうか。
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