蟹から粟の種子をもらったということ。
波照間島の高那埼に上陸したとされるイシカ祖先神。その伝承では、「高那埼の近くで一匹のカニから最初の粟の種子をもらった」と言われている。また、「最初の苧麻(ブー)もイシカヌパがもってきたもの」と考えられている。
「カニからもらった」というのはどういうことか。
これは、粟の種子はあの世からカミがもたらしたことを言っていると思える。そのカミが「蟹」だったということは、このときのイシカ祖先神が、蟹トーテムの段階にあったことを示唆している。
彼らが蟹トーテムであったことは、苧麻をもたらしたことと矛盾しない。また、イシカ祖先神が、兄妹夫婦であるとされているのも、母系社会に位相を持つ兄妹始祖神話と同じであるとみなせる。
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