ヤドカリ・トーテムの背景
沖縄の場合、ヤドカリにトーテムを見る契機は、ゴホウラが担っていたと考えられる(参照:「ヤドカリ・トーテムの発生とゴホウラ」)。
奄美の場合、どうか。奄美では、ヤコウガイが大量に捕獲されていた。
ヤコウガイにはときどきヤドカリのはいった痕跡をのこす殻頂部破片がある。 したがって貝殻の個数を数える場合はヤドカリによって遺跡にもたらされた貝殻のあったことを考慮にいれなければならず、 また同様にヤドカリによって持ち出された貝殻もあったとみなければならない。 用見崎遺跡では、 7%に宿貝であったことを示す痕跡が認められた。(木下尚子「先史奄美のヤコウガイ消費 : ヤコウガイ大量出土遺跡の理解にむけて」)
ゴホウラもヤコウガイも礁斜面に生息しているのは同じだ。沖縄はゴホウラで、奄美はヤコウガイで、ヤドカリ・トーテムを予感するわけだ。
こうだとしたら、ヤドカリ・トーテムの際の、「くびれ平底」系の文様について、奄美と沖縄の差異に、ヤコウガイとゴホウラ(あるいはその貝輪)の形態が反映されているということはないだろうか。
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