キシノウエトカゲと土器
山極海嗣は、下田原貝塚の土器について、書いている。(「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明 遺跡属性と生態資源利用の地域間比較を通した文化形成の考察」山極海嗣、2016.03)。
下田原式土器における装飾や紋様は台湾や沖縄諸島に比べると施文面積は僅かで、有紋の個体自体が少ない。更に、器表面の痕跡から見て煮沸用途に繰り返し利用されたとは考え難い。現時点の出土資料からは、下田原式土器の明確な使用用途は判然としないが、少なくとも交易交換材や威信材、煮炊きの為の調理器具としての機能や、副葬品としての用途は読み取れない。
下田原貝塚の土器は、ふつうぼくたちが考えるような"土器"ではなかったわけだ。
ぼくにはこれはキシノウエトカゲに見える。というより、当時の島人は、トーテム像としてこれを造形しているのではないだろうか。このページの画像をみると、どういうシーンを捉えているか、分かると思う(参照:「沖縄こどもの国公式ブログ」)。
台湾などの似た土器を見る機会のあった島人は、トーテムであるキシノウエトカゲに似ていると思う。これは、バカギサだ、と。そこで、一種のトーテムセンターである名蔵湾沿いの土を使った、トーテム像を拵えたのではないだろうか。
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