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2017/11/03

「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明」(山極海嗣) 5

 下田原期でも貝類の出土は多い(「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明 遺跡属性と生態資源利用の地域間比較を通した文化形成の考察」山極海嗣、2016.03)。

 「全体的な出土状況からは、いずれの島の遺跡でも、主に貝類・魚類・イノシシが利用されており、それを補う形でウミガメや爬虫類・鳥類が利用されていたことが確認できる」。

魚類に関してはいずれの遺跡でもブダイ科やフエフキダイ科が大半を占め、その他もベラ科やハリセンボン科などラグーンに生息する魚が大半を占める点は変わらない。


 多良間添道遺跡
 潮間帯に生息するイソハマグリが 88%と多数を占める。

 石垣島の大田原遺跡
 リュウキュウサルボウやアラスジケマンガイなどの内湾生息の貝類が 76%

多良間添道遺跡は砂丘地にある遺跡で、大田原遺跡も内湾地形の名蔵湾が眼前に広がっていることから、遺跡で出土する貝種も遺跡の立地環境を反映していると言える。

 仲間第二貝塚
 ヒメジャコ、イシカケガイ、ヒルギシジミの出土が目立つことが報告されている。

仲間第二貝塚は仲間川と海の境目に立地しており、サンゴ礁に生息するヒメジャコ、砂地に生息するイシカケガイ、汽水域 25に生息するヒルギシジミは、やはり遺跡の立地環境を反映していると言える。

 下田原貝塚
 ヒレジャコが 24%、リュウキュウバカガイが 15%、サラサバテイが 10%。その他もヒメジャコやオニノツノガイなどサンゴ礁に生息する貝類が多い。特筆すべきはシャコガイやヤコウガイなどの大型の貝類が多い点(40%)である。ヒルギシジミが 36%、20%を占めるなど、汽水域の貝類の割合も多い。「イノシシの遺存体も多く、比較的陸寄りの食糧資源獲得も読み取ることができる」。

 「波照間島はラグーンが比較的小規模で、リーフエッジの外側は急に深くなる地形を示す。リーフエッジに生息するシャコガイ科(ヒレジャコ・ヒメジャコ・シラナミ等)や、その外側の斜面に生息するヤコウガイが多い点は、このような海岸環境を示していると考えられる」。

 下田原期にも貝への依存は始まっている。貝トーテムも始まった貝塚もあっただろう。潮間帯の小さな貝もトーテムになりえた。その貝たちの主がシャコガイ科の貝だったと考えられる。

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