籠目文系統と植物トーテム
前4期の奄美土器について、新里亮人は整理している(「貝塚時代前4期奄美諸島の土器様相」「鹿児島考古」2017.7)。
たとえば新里は、嘉徳Ⅱ式は、考えられていたより古い段階から出現しているから、嘉徳Ⅰ式Aから成立したものではない可能性が高いと指摘しているように、奄美の土器については整理しきれていないことも多いようだ。
また、崎原恒寿は、「点刻線文系土器について」で、こう整理している。
・嘉徳Ⅰ式 → 伊波式(後続)
・嘉徳Ⅰ式 → 嘉徳Ⅰ式B(派生)
・嘉徳Ⅰ式Bは主に奄美
直観的には、沖縄の荻堂式と奄美の嘉徳Ⅰ式Bを対照して捉えればいいのかもしれない。これらはどれも、「貝と蝶」の表現とみなせる。
ぼくが気になるのは、凹線文土器(4)や嘉徳Ⅱ式(5)の「籠目文」だ。ここに表現される「超えと潜り」はあるいは、苧麻等の植物トーテムなのではないだろうか。
ぼくたちのこれまでの考えでは、北琉球弧の植物トーテムは、貝と蟹のあいだのどこかで発生していると捉えてきた。土器にもそれは表現されてよいとするなら、籠目文様がそうなのではないだろうか。
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