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2017/10/17

「面縄第2貝塚の貝類遺体(予察)」(黒住耐二)

 面縄第2貝塚は、貝塚時代前4期に相当する(「面縄貝塚群Ⅱ-面縄小学校改築に伴う面縄第2貝塚の緊急調査」)。

 出土した貝類遺体は、サンゴ礁域の貝類がほとんどを占め、河口域や淡水域・陸域のものは極めて少ない。「ただ、徳之島でも僅かに生息が知られているマングローブ林に生息するシレナシジミは、この種が生息しない島の貝塚時代の遺跡からも出土しており、同様に本遺跡でも持ち込まれたものと考えられる」。

 巻貝類が大半で、シャコガイ類とイソハマグリ以外の二枚貝類は少数。全体として、中大形種が多く、その中でも、マガキガイ・チョウセンサザエ・ヤコウガイ・オキニシ・シャコガイ類等の割合が高い。

 面縄第2貝塚の前にはサンゴ礁、イノー(礁池)があるが、よく発達しているわけではない。として、黒住耐二は書いている。

イノー内に生息するマガキガイが極めて多いということは、当時のイノーの状況に起因する可能性もあるが、本種に対するかなり強い選択性が存在したことも想定される。
干瀬(礁嶺 / リーフ)で見られるオキニシは、徳之島のトマチン遺跡や沖永良部島の住吉貝塚でも多く出土しており、本地域で好まれていた可能性も考えられる。貝製品のの素材となるゴホウラも少数ながら確認されている。
ミミガイが集中する場所がり、奄美大島では同じ科に属するイボアナゴの集中する土坑が知られており(用安良川遺跡)、「もしかすると、特異な利用に起因するものかも知れない」。

 これらのことは、前4期の徳之島では、貝のなかでも巻貝がトーテムになってることを示していると思える。

貝類の種組成からは、沖縄諸島の貝塚時代後期と類似している。ただ、沖縄に多いサラサバテイラはそれほど多くはないようである。このことから、この地域では前4期の段階で、ある程度のイノーが発達したサンゴ礁の存在が確認できる。

 島人は、目の前のイノーの貝類の組成を軸に、自分たちのトーテムを思考したということではないだろうか。


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