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2017/10/11

「縄文文化における南の範囲」(伊藤慎二)

 縄文土器様式の特徴は、縄文施文と口縁部突起の発達。

 石垣島で、約4000年前の深鉢のような形をした土器が確認された。下田原式系土器は三段階に区別できる。深鉢のような形もあるが、鍋のような土器のみに変わっていく。

 北琉球の貝塚時代の土器変化は、少なくとも7つの土器様式があって連続的に入れ替わる。

 爪形文は、「指先・爪先のような道具で土器の表面に文様をくまなく」つける。

 ・貝塚時代の土器様式は、「縄文文様をいっさい使わないことで終始一貫」している。
 ・前3期の隆帯文系土器の段階から壺形土器が出現して、その後も継続的に作られる。
 ・口縁部突起も隆帯文系土器から一般的になるが、出現時期が遅れているうえ、不安定。
 ・「土偶や石棒」がまったく見られない。
 ・「蝶形製品」と「線刻石板」。

 こうした特徴を整理して、伊藤は述べている。

 このことは、縄文文化の精神的世界観に関連する土偶や石棒を貝塚文化はまったく受容していないことと、物事の両面として関わっている可能性があります。そうすると、縄文文化の南西側の範囲は熊毛諸島までで、北琉球の貝塚文化は、縄文文化に隣接する独自の主体性を備えた別の文化として捉えるべきなのではないかと考えられます。


『縄文時代: その枠組・文化・社会をどう捉えるか?』

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