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2017/10/31

「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明」(山極海嗣) 4

 無土器期で出土数の多い貝を、貝塚ごとに追ってみる(「宮古・八重山諸島先史時代における文化形成の解明 遺跡属性と生態資源利用の地域間比較を通した文化形成の考察」山極海嗣、2016.03)。

 神田貝塚。
 遠浅の砂地に生息するアラスジケマンガイが85%、72%と圧倒的。「シャコガイ科などサンゴ礁生息の大型貝類や、リーフエッジ生息の貝類は少ない」。

 名蔵貝塚群
アラスジケマンガイ30%、カワラガイ26%、リュウキュウサルボウ17%、また別の地点でアラスジケマンガイ46%、リュウキュウサルボウ12%と、「名蔵湾の環境に合致した貝種の出土が目立つ」。

 仲間第一貝塚
 仲間第二貝塚と同様に「汽水域とサンゴ礁域の貝類が報告」されている。

 カトゥラ貝塚
 「浦内川の水中に立地するでは全層位を通してヒルギシジミやオオモモモノハナなどの汽水産の貝類が豊富に出土している」。

 竹富島のカイジ浜貝塚
 マガキガイが28%を占めるものの、「37%を総数比 2%以下の 157 種の貝類が占めており、一定の種に偏らない傾向を示している」。「大型のシャコガイ科の出土も普遍的に確認することができる」。

 波照間島の大泊浜貝塚
 シラナミが 22%と目立ち、別ではサラサバテイ33%に次いでヒレジャコが 17%、また別では、ヒメジャコ36%と「シャコガイ科の大型貝類の出土が目立つ」。「全層位通して、汽水産のシレナシジミや、リーフエッジに生息するサラサバテイなどが多い点も併せて、下田原期の下田原貝塚とよく似た出土状況を示しており、波照間島の生態環境を反映しているものと理解できる」。

 与那国島のトゥグル浜遺跡
 ヤコウガイの出土数が群を抜いており、72%、77%、77%と圧倒的な割合。「これはヤコウガイ製品の多さとも相関している」。

  ここで、たしかめたいのは、島人の居住地は、トーテムに似せるということだ。

 

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