「南西諸島における神観念・世界観の再考察」(クライナー)
ヨーゼフ・クライナーの「南西諸島における神観念・世界観の再考察-奄美の祝女信仰を中心に」(「沖縄文化研究10」)から、再度、聖地をたどってみる。
祭祀行事が集中するのは、神山とミャーだが、「聖地」にこだわれば、
1.ウボツ(オボツヤマ)ないしウガン(オガンヤマ)
2.イヤンヤ
3.イベ(イビガナシ)
の3つに分けられる。
このうち、イヤンヤは、岩や洞窟のなかに「昔の人の人骨」が散らばっていて、地下他界の入口に通じると言われ、非常に恐れられている。
イヤンヤは、「地下他界」と言われているが、もともとはサンゴ礁他界を考慮しなくてはならない。
問題は、ウボツ(ウガン)である。ウボツは、もともと地名だから、これ自体は神山の性格を一義的には語らず、山の他界である場合と、山頂が遠隔化された他界であるという二重の意味があると思える。理屈からだけでいえば、山の中腹が身近な他界であり、山頂が遠隔化された他界。山の中腹が身近な他界で、遠隔化された他界は別の場所であるという場合が考えられる。
遠方から拝むというウガン(オガンヤマ)の場合は、遠隔化された他界を指すと思える。
だから、「聖地」の類型は、クライナーになぞらえれば、
1.遠隔化された他界
2.その前段階としての身近な他界
3.遠隔化された他界とこの世を結ぶ結節点
になると思える。
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