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2017/09/25

定着期の居住立地と土器と島人の思考

 いわゆる定着期にフォーカスしてみる。

Photo_3

 琉球縄文期の島人の思考はここでダイナミックな動きを見せている。そうするしかないので、直観を含めて書いておく。

 前3期に隆盛する「隆帯文系」の土器はシャコ貝を表現している。「貝」の時代の始まり。前3期から前4期にかけて、遺跡が「台地上縁辺とその直下、および内陸寄りの砂丘」になるのは、サンゴ礁の貝に対して、陸の「貝」の位相に位置を採ったのだと考えられる。

 この段階で「蝶形骨器」が出現するが、これは「霊魂の発生」を物語る。同時に、「蝶形骨器」は「蝶」と「ジュゴン」の結びつきを示しているので、貝のほかに蝶とジュゴンもおそらくはトーテムの地位を占めていた。

 前4期は、「他界の発生」を意味している。ここでの、沈線文系、籠目文系、点刻線文系の土器群は、貝と蝶を表現していると考えられる。これは、琉球刺青が、貝と蝶をモチーフにしているのと同期している。「蝶形骨器」の出現とともに、刺青も出現の根拠を持つが、現在まで伝えられたデザインは前4期に発生、定着したものだと考えられる。

 前5期の「肥厚口縁系」の土器は、サンゴ礁を表現している。肥厚した口縁部は干瀬と海辺の岩場に当たる。これは、後期になってサンゴ礁としての貝の子という位相の前段階をなしている。

 崎山理によれば、この時期に北上したオーストロネシア語族が「ヨネ」という言葉をもたらしている。それは広く地母神の概念を伴っていた。

 これから、この素描の妥当性を確かめ、細部を詰めていく。


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