ヨナとイヤの分布
熊本県の美里町には、「いや川水源」がある。「いや」は胞衣のことだ(「いや川水源と御手洗水源」)。
いや川水源は、鳳林山の麓に湧出している。水温は年間を通して15℃ほどで一定している。干ばつのときも枯れたことはないそうだ。川底には カワベニマダラという紅苔が自生していることで知られる。最近はその数が減っているそうだが、昔は川底の石全体が紅く染まるほどたくさん自生していたという。
いや川の名は、お産のときの「いや(胞衣)」を、この水源で洗い清めたことに由来するという。その血が石に付着して赤くなったという言い伝えがある。(「いや川水源(いやがわすいげん」)
「400~500年前からあると推測されている水源」と言われているらしいが、もっと古いのではないだろうか。
胞衣の呼び方を「ヨナ」「イヤ」で辿ってみる。
ヨナ 福井県、愛知県、三重県、島根県、山口県
イヤ 長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県(『日本産育習俗資料集成』より)
こうしてみると、「ヨナ」の方が北へ延びている。
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