ミタマとミカケ
「和名類聚抄」の十巻本の巻一、「神靈類第十六」の「霊」の項を見ると、
靈
四聲字苑云、郎丁反。日本記云、(美太萬)。一云、(美加介)。又用魂魄二字。(「国立国会図書館デジタルコレクション - 和名類聚抄 20巻」)
とある。
ここでいう「美太万(ミタマ)」はぼくたちの言葉でいえば、霊力。「美加介(ミカケ)」は「御影」のことだろう。霊魂のことだ。
「魂魄」二字も用いられる。「魂魄」は、古代中国の霊魂・霊力のことだ。
ここで確認しておきたいのは、本土日本でも平安時代に、あいまいな形ではあれ、霊力と霊魂の二重性は捉えられていたということだ。
また、「人間のなかの人間」(フレイザー)としての霊魂は、「雛形霊」とも呼ばれているようだ(碓井益雄『霊魂の博物誌―原始生命観の体系』)。この雛形霊の表象は日本では希薄なのではないだろうか。
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