ヨナとイヤの身体・地名分布
胞衣は、エナの他、ヨナ、イヤと呼ばれている。しかし、それらは地名としての胞衣でもある。この分布の仕方には意味があるのかもしれない。
・身体ヨナ 福井県、愛知県、三重県、島根県、山口県
・地名ヨナ 熊本県、福岡県、山口県、広島県、島根県、兵庫県、愛知県、岐阜県、山梨県、千葉県、石川県、長野県、新潟県、茨城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県
これは手元にある資料からの抽出なので、厳密性はないが、ここから仮説を立ててみる。ぼんやり眺めて思うのは、「地名ヨナ、身体イヤ」という琉球弧型は九州でも弱くその傾向が続いている。対照的なのは、中四国や関西でみられる地名イヤのところでは、身体はヨナとなっているらしい。これを「地名イヤ、身体ヨナ」としてみる。
これにかぶさるように、北九州から本州にかけて多いのは地名ヨナだ。ただ、この場合、身体はイヤではなく、エナになっていると考えられる。考えやすいのは、地名ヨナはすでに「米」の意味に転化しているところだ。
「地名ヨナ、身体イヤ」と「地名イヤ、身体ヨナ」は反転形だから、考えやすい。
これらを統合的に把握しようとすれば、どういえばいいだろうか。
地名ヨナのところでは、ヨナを地母神的に捉えたところでは、身体をイヤと呼び、米として捉えたところでは身体をエナと呼んだ。もちろん、地母神が古層になる。これとは別に地名イヤ、身体ヨナと反転させて捉えたところもある。この場合の地名イヤは地母神的だ。
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