トーテムの系譜と島人の思考 9
トーテムになった動植物に違いはなく、サンゴ礁が形成された時期も同じころであるなら、北琉球弧と南琉球弧のちがいは、「霊魂の発生」の段階の違いでつかむのが最も本質的だということになる。
それはつまり、「蝶」と「苧麻」を介して行われた。北では「蝶」に死者精霊を見るだけではなく、「霊魂」を見た。南では、「苧麻」を通じて植物身体を見るだけではなく、そこに「霊魂」を見た。
北は、南に先行して「霊魂」を発生させたというだけではなく、飛翔するものに「霊魂」を見たというところに霊魂思考の進展を想定することができる。南は霊魂とはいえ、遠くへゆかない。かつ、死以外では抜け切ることはないと考えられていたのではないだろうか。
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