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2017/06/20

トーテムの系譜と島人の思考 5

 蛇トーテムの次に来るのはトカゲ・トーテム。トカゲは、蛇に足が這えたものだ。これは人間の自己認識が、手足に向かったことを意味している。蛇は、「腸管」に類似を感じたのに対して、トカゲには「手足」に類似を感じた。前者が内蔵表出という霊力思考そのものであるのに対して、後者は体壁表出という霊魂思考が見出せる。

 問題は、「蛇」とともにあった「脱皮」がトカゲに来てほころびを見せることだ。つまり、トカゲは「死」の発見を意味していると思える。

 人間は「死」の発見により世代という概念を手にする。そしてそれとともに親子婚が忌避されるようになる。しかし「世代」という概念だけにしてしまうと、現在のぼくたちと変わらない直線状に自身を位置づけることになるが、この段階では反復する時間概念も強いから、世代概念だけでは放っておかない。

 そこで生み出されたのは「母」である。それが、貝トーテムの段階が意味するものだ。ここで親子婚はタブー化される。

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 ここで考えなければならないのは、トカゲと貝のあいだには、「蝶」と「ザン(ジュゴン)」が控えていることだ。「蝶」はこの段階でトーテムになるが、やがて一方向に進む時間を象徴してトーテムからは離脱する。「ザン」は「胞衣」であり、兄妹でもある。だから、これは兄妹婚を意味することになる。あるいは、「胞衣」を通じて親子婚も許容されるということがあったのかもしれない。

 しかし親子婚は「貝」の段階でタブー化される。

 「蟹」トーテムは、母系社会を意味している。それはあるいは外側からの要請だったかもしれない。「蟹」トーテム化のあとに、「蝶」と「ザン」がトーテムから離脱するのは、それを示唆するのかもしれない。


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