ぶなぜー神話の位相 4
多良間島のぶなぜー神話の特徴は、神が発生したときに、トーテムではなく、渡来した勢力でもなく、「兄妹」を神化した点にある。しかも、あからさまに性交と妊娠の認識の受容を盛り込んでいる。
ここに至るまでには、いくつもの段階が存在する。
洪水後、
1.蛇、トカゲ、兄妹(兄妹婚)
2.蛇、トカゲ、貝、女
3.蛇、トカゲ、貝、苧麻、(女)
4.蛇、トカゲ、貝、苧麻、蟹、兄妹(母系社会)
5.蛇、トカゲ、貝、苧麻、蟹、アマン、兄妹(間接化性交)
6.神化
そして、多良間島では蟹もアマンもトーテムとされた痕跡があるのに、残された伝承で、トーテムとしての蟹とアマンは割愛されている。このことの意味するところは大きい。両トーテムとも、兄妹婚の否定のうえに立つ段階のものだからだ。別にいえば、貝や苧麻の段階では、兄妹婚は否定されていない。それが神化の段階で「兄妹」が選ばれたとき、「蛇、トカゲ、貝、苧麻」が残り、「蟹、アマン」が消えた背景をなしている。
多良間島でも母系社会は経ている。しかし、その影響は小さかったというこではないだろうか。母系社会化している。にもかかわらず、兄妹婚も行われていた。島人の兄妹婚に対する思慕は強かった。そういうことではないだろうか。
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