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2017/05/14

ザンは兄弟姉妹婚の象徴だっただろうか。

 たしかな手応えを持ちにくいのだが、ザン(ジュゴン)が兄弟姉妹婚の象徴だった段階があるのかもしれない。

 ジュゴン製の骨でできた蝶形骨器が終焉する約1600年前について、ぼくは母系社会の成立を想定している。これが妥当しているとしてだが、それならそれ以前に女性シャーマンの後頭部に飾られた「ジュゴンの骨」は、兄弟姉妹婚の象徴の可能性を持つことになる。

 与那国島は、胞衣はアングヌムヌと呼ばれる。これは直接的には赤ちゃんの「相手をする」という意味だが、旅人への性的歓待を含意している(参照:「ブーは一番神様に近い植物」(「与那国島のものの見方・考え方」))。胞衣には、性的な意味が含まれるのである。赤ちゃんの相手をする胞衣に性的な意味が含まれ、また、胞衣は兄弟関係の呼称で呼ばれることもあることを踏まえると、こういう類推ができる。

 赤ちゃんと胞衣の関係は、兄弟姉妹の関係と同じである。胞衣には性的な相手をするという意味が含まれるなら、兄弟と姉妹の関係にもそれが想定できる。また、ザンには「食らう」という伝承のそばにあるいは裏側に「交わる」というニュアンスがつきまとう。

 もうひとつ、古宇利島の兄弟始祖神話では、兄妹はザンの交尾を見て性交を知る。ここではザンの交尾は兄弟姉妹婚のメタファーだ。

 これらのことは、ザンが兄弟姉妹婚の段階を象徴していたことを暗示しているのではないだろうか。

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