「沖縄の山の神について」(上原孝三) 2
上原孝三の「山の神」議論について、もう少し考えてみる。
先史琉球弧の世界の動物の主は次のように考えられる。
地底、空、山(蛇) テラ山(貝) サンゴ礁(貝) 海(蛇)
こうだとする。この段階では、シヌグは来訪神ではない。祭儀があったとすれば、スクの精霊を出現させた予祝行為そのものだった。
ここで改めて、スクたちの性別をあげると、
キラハニ 女性性(太陽)
スク 女性性(干瀬の子)
ウンジャミ 男性性(蛇)
となる。ここで矛盾が生じる。
シヌグ(スク) 女性性 男性が担う
ウンジャミ 男性性 女性が担う
これを矛盾ではなく受け取ろうとすれば、これは一種の異性装でもあったのではないだろうか。
サンゴ礁の神話時間のなかで、世界は性を受け取る。この段階では、死者を食べる儀礼も行われていた。他者との同一化である。そして、男性と女性は明確に分離されておらず、性はグラデーションだ。そのグラデーションを踏まえつつ、性の全体性を表現する方法として、女性性の神を男性が担い、男性性の神を女性が担うようになった。
上原は「山の神は女性に特定されないことが沖縄の「山の神」の特徴といるのではないか」と書いていた。ことは、「山の神」の性が問題なのではなく、異性装による見かけがそう思わせるということではないだろうか。
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