「宮古島の二つの壺」(居駒永幸)
居駒永幸は、ふたつの「壺」に着目している(「海の宮」12号)。ひとつはティダガガマ(太陽の洞窟)の「壺」であり、もうひとつはンナフカ祭の「壺」である。
前者の万古山の祭祀は、西側の「ヤマトドマイ(泊浜)」と北東のクーラ浜で潔斎してから行ったということが書き留められている。洞窟の前に、その本源であるサンゴ礁とのつながりを保ったということだ。
ンナフカ祭の「壺」は「瓶」のことで、イーヌカミ(エイの瓶)と呼ばれている。この壺は、神女が躍る際、「ユーザスが白いカンパニ(神衣)の懐にイーヌカミを隠し持ち、ツカサたちと一緒にユークイをうたい踊る」。この場面が印象的だ。
居駒は、「一つは天界から太陽神が与えたユーと生命の壺。もう一つは海の彼方の竜宮からもたらされた豊穣・富貴自在の壺」と整理している。
ぼくたちはここに、「壺」の原型がサンゴ礁としての貝であるのを付け加えることができる。ティダガガマの壺も、ンナフカ祭のイーヌカミも、もとはこの大きな「貝」に発祥していた。
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