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2017/04/26

『女神のこころ』(「創造」ハリー・オースティン イーグルハート)

 宗教的なところやイデオロギーなところに躓かなければ女神のカタログのように読むことができる。

 ここから、琉球弧の名もなきサンゴ礁の女神に似た面影を探してみる。

 北アメリカのスパイロー遺跡から発掘された鎧の喉あてにはクモが描かれている。チェロキー族やカイオワ族の伝説では、「年老いたクモ女が太陽の国から光を運んできた」。クモは聖地の守護者である。

 つまり、クモはあの世とこの世を行き来する者だ。目を見張るのは、このクモが「貝殻」に描かれていることだ。クモは女だとされ、「太陽を創り」ともされているけれど、もともと太陽を生んでいるのは貝なのではないだろうか。

 太陽を生むヌートは、「古代アフリカの宇宙の女神」とされている。

 太陽は毎朝ヌートから生まれ、その子宮から光を放ちます。そして毎夕ヌートに吞み込まれ、夜空という彼女の体内を旅するのです。彼女がいてこそ、星は光を放てます。

 ただ、雨も彼女の「母乳」であり、ヌートの体は「水、滴、ヘビ、多産」など、普遍的な象徴で覆われる、そのところは、貝とは位相を異にする。ヌートはもともと蛇だろうか。

 琉球弧の視野からは、「器」といえば「貝」なのだけれど、「乳房」もそれにあたっている。しかし、産む、育むという順序からいえば、子宮(貝)、そして「乳房」なのではないだろうか。

 もうひとつ立ち止まらせるのは、約6000年前のアフリカの「鳥頭のヘビの女神」だ。この女神は「地のヘビと天の鳥を統合している」。鳥は巣作りの習性から女神と結びつけられる。

 琉球弧は、鳥は蛇の零落とともに出現する。この「鳥頭のヘビの女神」は、天と地の分離の際の融合の形か、分離以前に、地の蛇と空の鳥が融合する形かのどちからかだと推察させる。


 

『女神のこころ』

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